読書

オーシマになれなかった人のために

それは私であり、あなただ。 まあそれは私三流の法螺というか欺瞞ですけど、これだけの反響があるのは凄いですね。びっくりした。願わくば、この反響を受けてか何かの拍子かで、いつかどこかにオーシマさんが降臨して「ス スゲェ 俺たちのblogがオーシマさん…

お前の中に棲む悪魔が見てえんだよ!!『NHK中学生・高校生の生活と意識調査』(NHK放送文化研究所)

文章は『NHK中学生・高校生の生活と意識調査―楽しい今と不確かな未来』(NHK放送文化研究所編)の伊集院光v.尾木直樹対談の伊集院発言より、画像は『魁!!クロマティ高校(1) (講談社コミックス)』(野中英次)より引用。けだし名言である(両方とも)。 昔は…

『時雨蛤日記』(深堀骨)

ミステリマガジン1993年2月号掲載。『白熊座の女は真夏の夜にここぞとばかり舌を鳴らす』で「不慮の事故によって急逝された作家」として登場する西瓜、いや西爪一馬先生の作家生活を西瓜、いや西爪先生の日記形式で綴った作品。 登場人物は西瓜、いや西爪先…

『おおきく振りかぶって』(ひぐちアサ)

巨人が2-0の2点リードで向かえた9回表、ランナー1塁。ランナーは阪神赤星選手。キャッチャーは巨人阿部捕手で、彼の盗塁阻止率は4割1分。 さて,赤星選手の盗塁が成功する確率は何%でしょう? ヘキサゴン2クイズパレード!!6月13日放送分より 今日で今年の甲…

ぼくにできることは引用ぐらいだ!!『爺言(じいごん)』(田埜哲文)

老人たちのインタビュー集。ここで引用するのは『火垂るの墓』についての、作者である野坂昭如さんの言葉。 徹頭徹尾、『火垂るの墓』は自己弁護小説なんですよ。そもそも小説では4歳になっているけど、妹は1歳4か月で、ただ泣いているだけの存在。蚊帳の…

『からくり民主主義』(高橋秀実)

とても面白かった。超おすすめです。おわり。 では面白くないのでここでクイズ。以下の村はどこにある、なんという村でしょう? 村に生活保護を受けている世帯は一軒もなく、人口も微増している。見回すと、この集落では、不況の折にもかかわらず、家の建て…

『大問題07』(いしいひさいち・峯正澄)

検索してもなかったのでメモ。けだし名言である。 「仮面ははがれ、人間が残る。そして英雄は消える」(ジャン=バチスト・ルソー) マンガもコラムも面白いこのシリーズ。また来年も出ますように。 大問題〈’07〉 (創元ライブラリ)作者: いしいひさいち,峯…

『ピクル PICKLE』第1話

板垣先生の短期集中新連載。先週の予告にあった「時空(とき)を越えた!!」という文言を見たときから、スゲェ嫌(ヤ)な予感……がしていたのですが、「主人公は冷凍(塩漬け)されていた原始人、しかもティラノサウルス捕食歴アリ」という、普通思いついても…

童貞・接触・発動『ドスペラード』(大和田秀樹)

ネタバレ(というより要約になってるので)注意。なお、替え歌(それも微妙に出遅れた感のある)でお茶を濁すことを心より恥じる。

肉体言語学者の論理『延長戦に入りました』(奥田英朗)

今まで手を出していなかった作家さんの作品にも手を出そうと『イン・ザ・プール (文春文庫)』、『空中ブランコ』、『ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)』、『町長選挙』、と読んでみたら奥田英朗面白いじゃん(『ロクメンダイス、 (富士見ミステリー…

『文藝』2007年春号

みんな大好き恩田陸特集。色々あって盛りだくさんという感じでしたけど、中でも「恩田陸へのQ&A」(質問者は綾辻行人、津原泰水、中村航、森見登美彦)という企画の津原泰水の質問と恩田陸の回答が、津原泰水本人が「我ながら素敵な御回答を引き出せる素敵な…

『ピカルディの薔薇』(津原泰水)

蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)に続く、猿渡・伯爵シリーズの短編集。七編の短編のうち、個人的に好きな四篇について感想をば。 『ピカルディの薔薇』 表題作。脳に障害を持ち、五感が無いという青年人形作家に猿渡が「どの人形もご自身とそっくりだ」と指摘する…

オレオレ!オレだよ!それオレだよ!

読書、それも夏目漱石や三島由紀夫などの文豪クラスの作品を読んでいると、このダメ主人公は私なんじゃねえか、という勘違いも甚だしい感情を抱いたり抱かなかったりして抱いる場合うわ私キモっ、と自己嫌悪したりしなかったりしますが、先日『QED 河童伝説 …

『解決と「○ん○ん」』(ディスコ探偵水曜日 第三部)(舞城王太郎)

新潮2006年8月号〜12月号連続掲載。梗概を引用。 日本にやってきた迷子探し専門のアメリカ人探偵ディスコ・ウェンズデイは6歳の山岸梢を預かるが、ある日梢の体に《17歳の梢》がやってきて事態は混乱。《パンダラヴァー》に魂を奪われた《島田桔梗》まで《…

ヤフーアワード2006 Comic of the Yearの部門分けが一部いいかげん?な件

「ギャグ部門」「アクション部門」「スポーツ部門」「職業部門」「恋愛部門」「歴史部門」「SF部門」「ミステリ部門」の8部門に分けられていて、『皇国の守護者』がどこの部門にもノミネートされてない(!)こと以外は良く押さえてあるなという感じの面子な…

『アンチ・ハウス』(森博嗣・阿竹克人)

森先生がガレージの設計を先輩に頼んでそれができるまでの過程をドキュメント風にまとめたもの。 おそらく森先生の著作の中でも最もマニアックな部類の作品であろう。でも自分、信者っスから…… アンチ・ハウス作者: 森博嗣,阿竹克人出版社/メーカー: 中央公…

『世界の紛争地ジョーク集』(早坂隆)

湾岸戦争のピンポイント爆撃で誤射を指摘された米軍の担当官が「死んでいるのがゲリラで生きているのが一般市民です」と説明する凄いネタがいしいひさいちのマンガにあって、そういう不謹慎なのを期待したのだけど、そこまで不謹慎なのはなかなかなくて割と…

『立喰師、かく語りき』(押井守)

対談ばっか。でも、この人の話は音声だと聞き取りづらいので、 こうやって活字にしてあるとファンの人は助かるだろう。 例によって面白かったところを引用。 自分が落ちこぼれたから学生運動に行ったのか、学生運動に深入りしたから落ちこぼれたのか、どっち…

みんな胸がデカカァァァァァいッ(共通点)

今週読んだマンガの感想を。 『鉄鍋のジャン!R 頂上作戦』 メイドが登場、またメイドか……と思わせて女装マッチョオヤジ。 西条先生…ベッタベタです しかし…オッケーです!! 順調な滑り出し。 『範馬刃牙』 板垣先生…… 刃牙の行動予想のなかで「マリア様に絡…

『虚空の逆マトリクス(Inverse of void matrix)』(森博嗣)

短編集。気になったものの感想をば。 『トロイの木馬』 オチが容赦の無い感じで好み。キルドレに近いかな? 引用。「これほどエラーの多いスクリプトはないのに、/何故か止まらずに走り続ける、/それが人間の仕様だ。」けだし名言である。 『話好きのタク…

『八本足の蝶』(二階堂奥歯)

自殺してしまった編集者、二階堂奥歯さんのweb日記と彼女に関わった人達*1が寄せた文章を本にしたもの。ともすれば、自殺前に書かれたこの文章(以下引用) 最後のお知らせ 二階堂奥歯は、2003年4月26日、まだ朝が来る前に、自分の意志に基づき飛び降り自殺…

『陽気なギャングの日常と襲撃』(伊坂幸太郎)

シリーズ二作目ということで色々拡散しつつも、相変わらずの素軽さ。 この著者は本当にヒットを打つのが上手いというか、三振をしない作家さんだなあと思う。 書店員さんが支持するのもうなずける。 陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)作者: 伊坂幸…

『鉄のラインバレル』(清水栄一・下口智裕)

王道。主人公が力を手に入れるきっかけは事故に偶然巻き込まれる初代ウルトラマンメソッドだし、登場人物には幼馴染の女の子とか謎の美少女転校生とかクールな先輩パイロットとか双子パイロットとかがいる。ロボットも格好良いし、普通に面白いので原作のス…

『悲しみの時計少女』(谷山浩子)

児童書読書日記を見て面白そうだったので図書館で借りて読んでみた。確かに綾辻さんがカバー袖に寄せた推薦文で「文句なしに面白い!」「これはもう、傑作と云ってしまっても云いすぎではないだろう」「まぎれもなく第一級のミステリー(推理小説)」「この…

『フラッタ・リンツ・ライフ(Flutter into life)』(森博嗣)

シリーズ四作目。クリタさんが主人公です。次が最後なだけあって、クサナギさんについての具体的情報もチラホラ。 とりあえず引用したいところを引用。 子供にはこう教える。景色は奇麗だ。動物は可愛い。友達は大切だ。故郷は懐かしい。老人は優しい。家族…

『独白するユニバーサル横メルカトル』(平山夢明)

狂気の見本市というか、これは良い狂気ですねというか、とにかく凄い短編集です。凄いのであらすじとも感想ともつかぬものを語る。 ・『C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食と老婆』 少年が他人の狂気に触れていくうちに、ついには狂気=ニコチンに侵されてしま…

『εに誓って』(森博嗣)

内容についてはまだ女装、いや助走だと思うので特に書くことないです。 海月くんの発言から引用。けだし名言であるですだすよ。 「今はただ、大衆は犯人の動機を知って、同情したり、あるいは怒りを新たにしたり、呆れたり、そんな反応の感情を抱きたい、た…

水木しげる先生の一人称は「水木さん」あるいは「水木大先生」――『漫画家誕生 169人の漫画道』(中野渡淳一)

信濃毎日新聞に4年間連載された「マンガ家の世界」というインタビュー記事をまとめた書籍で、総勢169人(!)の記事を収録。そのインタビュー記事は新聞の記事だけあってあまり深い内容のものではないけど、カバーしている漫画家の範囲が井上雄彦、藤子不二…

『キリハラキリコ』(紺野キリフキ)

「キリハラキリコ」という少女の風変わりな日常を日常なだけに日記風に綴った小説。最初と最後以外はbloggerて面白!みたいな感じのショート・ショートな文章(日記)が並んでいて素晴らしかったのですが、正直言って最初と最後は読んでいてなんだかなあとい…

『Q.E.D. 証明終了』25巻(加藤元浩)

隔月刊誌での最長連載記録更新とともにサザエさん時空に突入しつつある本作も、なんだかんだで25巻。探偵同好会シリーズ(?)と超ひも理論ネタの二本です。話のほうはもはや私的安牌の域なので特に書くことは無いですが、いつもより厚いのでお得感があって…