『フラッタ・リンツ・ライフ(Flutter into life)』(森博嗣)

シリーズ四作目。クリタさんが主人公です。次が最後なだけあって、クサナギさんについての具体的情報もチラホラ。
とりあえず引用したいところを引用。

 子供にはこう教える。景色は奇麗だ。動物は可愛い。友達は大切だ。故郷は懐かしい。老人は優しい。家族は愛に包まれている。笑顔を絶やすな。子供たちを守れ。戦争は悪魔の仕業。金に目が眩んだ奴らは悪魔だ。暴力には非暴力で立ち向かえ。みんなで協力しろ。力を合わせることは尊い。人間は尊い。すべては愛だ。子供を思い親を思う家族愛が
すべてを解決する。(中略)心を清らかに。良い子になるんだ。言うことをきく良い子に。先生や親を信じなさい。大人は子供のことを心配している。心から愛している。本当に愛しているんだよ。
(中略)
 ホイップする甘い香りの中で、しかし、それらすべての言葉が、僕には美しいと思えない。正しいとも思えない。優しいとも思えない。信じられない。従えない。歌えない。笑えない。
(P65-66)


森先生、やり過ぎです。もう一つ引用。

良いなあ。
やっぱり、飛行機は良いなあ。
人間なんかよりもずっと。
(P79)


飛行機を空に、人間を地上に置き換えても良い。このシリーズに登場する成長しない人類「キルドレ」たちの思想を端的に表した文章です。次で最後、かあ。


フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life