水木しげる先生の一人称は「水木さん」あるいは「水木大先生」――『漫画家誕生 169人の漫画道』(中野渡淳一)

信濃毎日新聞に4年間連載された「マンガ家の世界」というインタビュー記事をまとめた書籍で、総勢169人(!)の記事を収録。そのインタビュー記事は新聞の記事だけあってあまり深い内容のものではないけど、カバーしている漫画家の範囲が井上雄彦、藤子不二男Aなどの有名どころからとり・みき和田ラヂヲなどの個性派、そしてコザキユースケゴツボ×リュウジなどの若手まで(敬称略)とたいへん広いので、漫画好きにはお勧めの一冊。


本当に色々な漫画家さんの(一人見開き2ページ)があって、「今度この人の作品を読んでみよう」と思うひとも沢山いて面白かったのだけど、印象に残ったのは水木しげる先生と『ホーリーランド』の森恒二先生。
まず水木先生は、

自分のことを「水木さん」あるいは「水木大先生」と呼ぶ。

らしい。やはり水木先生クラスになると自分を客観視できるんでしょうね。


で、森恒二先生は『ホーリーランド』の元ネタである自身の経験について、

高校一年のとき、下北沢のゲームセンター二人組の不良にからまれた。こわがる自分をからかう不良に「こわさのあまり」手を出した。二発のパンチで、あっけなく相手は倒れた。もう一人も二発で片づけた。もともと体格がいい上に、子供の頃からスポーツで身体を鍛えていたのだ。
「それからは何かに引きつけられるように夜の街へ。この話を三浦君は編集さんにしたら、おもしろいから描きなよ、ということになったんです」


と、リアルホーリーランドぶりを語っています。あと記事中に三浦君=『ベルセルク』の三浦建太郎先生が5回も出てきたり、「ひどい交通事故」に遭って「瀕死の状態で救急車を待つ間、森恒二の頭に浮かんだのは漫画家になった親友―三浦建太郎の顔だった」だったりするのがポイント高い。こないだも対談してたし、仲良いんだなあ。


漫画家誕生 169人の漫画道

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ホーリーランド 13 (ジェッツコミックス)

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水木しげる妖怪大百科

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