メガネ・メガネ・メガネ『さよならの次にくる(卒業式編・新学期編)』(似鳥鶏)

それ以前に私はあのフジツボという生き物が嫌いで仕方がありません。甲殻類つまりエビやカニの仲間で小さい頃は海の中を元気に泳ぎまわっていたくせに、大人になって硬い殻を作れるようになった途端岩にべったりはりついて縦のものを横にもしない生活を始め、(中略)別に猫に限ったことではないのかもしれません。
新学期編のあとがきより


『理由(わけ)あって冬に出る』の続編で、実質的に「卒業式編」が上巻、「新学期編」が下巻という体の連作短編集。
引用したいところがネタバレになりそうな場合は無難にあとがき辺りから引用しとけというのは既に常識なので上記の引用になったわけですが、それはともかく「新学期編」の「卒業式編」の内容をミステリ的・物語的に消化したった感が良かったです。
あと、新学期編で新しいメガネキャラが登場(表紙を参照)して、案の定主人公であるところの葉山くんとラブコメ的な意味で接近した際、私は「オレは これでも そこそこ数は読む バットエンドものもいくつか読んできた そういうものにだけ働く勘がある その勘が言ってる 葉山くんは ラストで 凹む」といった具合のことを考えていたのですが、その予想をいい意味で裏切った、大変さわやかな感じでお話が締めくくられていたのも、いい話好きの私としては大変満足でした。
葉山くんが高校に入る前の伊神先輩と柳瀬さんの話とか、ミノくんの話など、まだまだ色々書ける、そしてそれを読みたいと思えるシリーズだと思うので、次も早く読めるといいなあと思います。どっとはらい


さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)

さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)

さよならの次にくる<新学期編> (創元推理文庫)

さよならの次にくる<新学期編> (創元推理文庫)