烈永周に右足を

今さらですが。読んだときはなんというか、チキンライスを床にひっくり返したようなショックで、まあそれは昨日私がチキンライスを床にひっくり返したからこその、今の私だからできる比喩ではありますが、とにかくショックだったのです。『餓狼伝boyスーパーガイド (KCデラックス)』のインタビューの中でも「僕はいつも作品を作り出す際に、終わりまでのストーリーの流れ、もしくは当分書いていけるだけのネタは用意しないんですよ。それよりも、先にキャラクターを作ってしまうんです。どういうキャラクターなのかさえハッキリしてしまえば、どんなシチュエーションに置いても、そのキャラクターらしいことをやってくれるんです」と言ってる板垣先生のことなので、今回の件の当事者であるピクルについても、キャラを立てるための短期集中連載中、ピクルの肉への執着を「親友(ライバル)の肉=生き甲斐=食料=誇り」と博士に説明させるくだりを書いてるあたりで「これは誰か食われるなァ……」と板垣先生は思ったはずです。その「誰か」が烈先生だったのはさもありなんですが、最初に食われたのがアレン君ではなく烈先生だったというのは、本気のピクルに真正面からぶつかった証であり、ある意味で光栄なことだと思うのです。うんきっとそうだ。
「雑誌的にあれはアリなのか」については、類似ケースの『バキ特別編saga (ヤングチャンピオンコミックス)』についてQUICKJAPAN44号のインタビューで「まぁ、冒険でしょ。それでも俺は書くんだと。載せる載せないはあなたたちの自由だし、それを、載せたくないだの前例がないだのっていうことで断るなら他に持っていくだけの話でさ」という力強い板垣発言がありますが、同時に「説得した」とも言っているので、今回の場合も(モメたと仮定するなら)おそらく「俺たちが牛や豚を食べるときに牛や豚に感謝しているように(中略)要はそこに敬意があればOKなんだ」みたいな理屈で「説得した」のではと思います。要はアウトとかセーフとかではなく板垣セーフ。
あとこれはバキとは全く関係ない話ですが、SAGAといえばテニス最終回、個人的には「時は流れて――→ウィンブルドンセンターコート→苦戦する主人公そっくりの少年→少年完敗。大の字に。空を見上げる→そこに手を差しのべる男(逆光で顔は見えない)→「まだまだだね」→完」というような、いわゆるひとつのサーガ的な最終回だと美しいなあと思っていたのですが、普通にいい最終回でしたね。特にあの歌。あれはいい歌だ。