Yes, I'm in the moratorium――『鴨川ホルモー』(万城目学)

普通に面白く読んだ。


容赦なくネタを若干割らせてもらえば「ホルモー」とはゲーム(競技)の一種である。

ゲームには当然ルールがあり、小説ではそのルールをどう作り、見せるかが作者の力量なわけだが、
本作はそのルールの作り方・見せ方が上手く、「ホルモー」というゲームにモラトリアム学生たちが
青春を捧げ、そして浪費していく様子が生き生きと描かれている。「いかにも京都」という雰囲気は○だし、
いわゆる青春小説としてもいける(というか後半は青春小説ふう)。


あえてケチをつけるとすれば、森見登美彦と作風が似ている(文体は違う)ことと、
本作の出来が「普通に良い」ものだったことで、あまり次の作品に対して期待しにくい面がある
(このくらいの作品を量産してくれれば文句はない)ことだろうか。
第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。ということで選評風に書いてみました。


鴨川ホルモー

鴨川ホルモー