猛々しくも甘い春のはじまり 『とらドラ10!』(竹宮ゆゆこ)

将来その子供たちが、乞食になろうと、腐敗した政治家になろうと、はたまた憂国の革命家になろうと、そんなことはこちらの知ったことではない。
そして、そんなことは、これを読んでいるあなたの知ったことでもないのである。
伊勢崎賢治NGOとは何か』


本編(短編集はまだ出るらしい)はこれにて完結の第10巻。何をいまさら、特に書くべきこともないですし、またしても内容のほうは悠然と割愛しますが、ひとつだけ。
私がこの最終巻を読んでいて、一番いい意味で裏切られたというか、感心したのが、本文は242ページまであるんですけど、219ページまで、作中の時間をぜんぜんすっ飛ばしてない*1んですよね。あの9巻のラストで二人で手をとりあって駆け出した直後から、その日の夜、次の日、そのまた次の日*2と、二人とその周りの出来事がしっかりと描かれていました。もう、それだけで私はサムズアップ、ゆゆこ先生の背中をバチコーンと叩いて「よくやったぁ!」と言ってやりたい気分になるのです。


とらドラ10! (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

*1:220ページ以降2回作中の時間を飛ばしてますけど、それだってそれぞれ1ヶ月半と2週間ぐらいずつ

*2:この「そのまた次の日」がしっかり「土曜日(P205)」と明らかにされているのを見て、すべてはしっかりと予定されていたんだなあとこれまた感心しました