なまえのある、あるかいぶつのきろく
13歳までに押し込み強盗11件放火6件をこなすが拳銃の不法所持で捕まり、少年院を出た後はシカゴ大学に飛び級で進学した早熟で聡明な不良少年ウィリアム・ハイレンズの両親は敬虔なカソリックであり、当然息子に性はタブーだと厳しくしつけた。その結果、ウィリアムは女性に近づくと吐き気をもよおす特異体質になってしまった。が、彼にも女性への興味は人並み、いやそれ以上にあるわけで、結局ウィリアムは下着泥棒になった。そしてある時、泥棒中に女性に見つかってしまって口封じにその女性をナイフで刺してみたらあら快感ということで、その半年後。彼はまたというか今度は女性を襲うために部屋に忍び込んで女性に拳銃を二発叩き込み(被害者は即死)、そのうえナイフでメッタ刺しにした。そして仕上げには、壁に被害者の口紅で
For heAVenS
SARe eAteh(n?) me
BeFore I Kill more
I cAnnnot control myself
(これ以上殺人を重ねる前にぼくを捕まえてくれ。自分が抑えられない(前半部は不明瞭というか意味不明。sareって?ちなみに彼はaを大文字Aで書くのが癖みたいである))
と書いて逃げ、一ヶ月後にはその予告通り再び殺人を犯した。これは浦沢直樹『MONSTER』でヨハンが壁に書いたメッセージ
僕を見て!僕を見て!僕の中のモンスターがこんなに大きくなったよ
助けて!僕の中のモンスターが破裂しそうだ!
の元ネタというかオマージュというかアレだろうと思った。やはり人間の中には抑えきれない、衝動のような何かがあるのだろうか?
追記:このページに素晴らしい詳細が。実物の写真やウィリアムの書いたものの正しい書き取り(sake catchかよ!)などがあります。つーかこのサイト凄いんですけど。
参考資料:柳下毅一郎『殺人マニア宣言 (ちくま文庫)』P148・149
- 作者: 柳下毅一郎
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