被疑者死亡のまま起訴――『若者殺しの時代』(堀井憲一郎)

面白かった。


大ざっぱに書くと、著者自身の体験と地道な調査による80年代〜現代までの回顧。
社会学っぽい回路のつなぎ方に気に入らない部分がなくはないけど(特に「若者殺し」について)、
個々のトピックスはたいへん興味深いです。特に面白かったのは、「いつからミステリー本は重くなったか」で、
確かに(著者が1983年〜2000年の週刊文春のミステリーベスト10をサンプルとして調べた限りでは)重くなってるし、高くなっている。
本書のP164にある表をはてなグラフ*1を使ってグラフにしてみるとこんな感じ。
赤はその年の最高重量本で青は平均重量です。
jundasのその年の最高重量とjundasの平均重量


で、平均価格はこんな感じ。


jundasの平均価格


最後に引用。『一杯のかけそば』の作者について、嘘つきの種類について。

栗良平という人は、すてきなうそつきだった、と僕はおもってる。こういうタイプの人間を見てるのは、僕はすごく好きだ。目の前にいる人たちが喜ぶのが嬉しくて、どんどんとウソを足していくタイプの人間である。うそつきというより、ホラ吹きである。


若者殺しの時代 (講談社現代新書)

若者殺しの時代 (講談社現代新書)

*1:初めて使ってみた