『放送禁止歌』(森達也*1)と2段モーション規制

物事Aと物事Bをこじつけるの大好き!なbloggerであるところの一人称が無理矢理。
まず「放送禁止歌」。この本です。

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

細かい内容の方は普通に面白いので読んでもらうとして、ザックリ結論を書くと、「放送禁止歌なんてない。あっあったのは事なかれ主義による自主規制(的なもの)だった」。
少し補足すると、その自主規制も別にどこかから抗議が来たとかの理由によるものではなく、メディアが抗議や非難をおそれて自主規制をした結果、共同幻想としての「放送禁止歌」が生まれてしまったのが真相という、いかにも日本的な、事なかれ主義の自主規制だったのですよ。
また本書に収録されているデーブ・スペクター×森達也の対談で「日本では誰か特に規制してるわけじゃないけど放送禁止用語(これも自主規制)がたくさんある。対してアメリカは5つぐらいの放送禁止用語があって、逆を言うとアメリカではそれら以外は表現の自由」みたいな事情も明かされる。さて、どうこじつけようか。

もう一つの話題、NPBの投球における2段モーション規制について*1、別に規制をすること自体は公認の野球規則に基づくものだから良いのだけど、問題はその規制の趣旨(と、どこまで規制をするか)だと思う。当然趣旨は「国際化に対応するため」だろうが、去年アテネで投げてOKだった上原や岩瀬がダメなのはなぜなのか?
ここでやっぱり「放送禁止歌」ではないが、日本的事なかれ主義による自主規制をしちゃってるんじゃないかと思う。NPBの野球規則はMLBのを翻訳したものだけど、MLBの「解釈」ではマリナーズ時代の佐々木の腕(と上げた足も?)を一瞬静止させるフォームはOKだった(事実、メジャーでは4年間で1回もボークを取られていない)。
まあ、あんまり一瞬静止させるフォームの日本人が成功し過ぎると、かつてのスキージャンプ日本代表みたいなことになりそうですけど。
とにかく今のところの感じだと、メリットは「野球規則の文言に忠実」「試合が少しスピードアップ」するぐらいでデメリットのほうが大きいように思えるので、なんとかしてもらいたいものです。

放送禁止歌」についての参考リンク
Passion For The Future: 放送禁止歌
松岡正剛の千夜千冊『放送禁止歌』森達也

*1:個人的には「足の二度上げは×、上げた足を一瞬静止するのは△(要検討。○でもいいんじゃないかと思うけど・・・)、腕を止めるのは○」という考えです